「中華はね、火加減じゃないんだよ、油加減」
招かれて、食事をごちそうになった。
今は体調を崩して自宅療養中だけど、勤めていたころは有名店を含むいろんなお店の料理長だったので、腕は抜群。
というか、彼の料理のせいで、その辺の中華を食べようと思えなくて困る。
「干し肉作ったから、食べにおいでよ」という誘いに気軽にのって、お茶菓子をもって訪問。
料理人の白衣が、バリっと目にまぶしい。
久しぶり、元気?という話もそこそこに、アミューズがでてきた。
個人宅の食事会なので一緒にワイワイ、という想像を外してコースでの提供が始まる。
あ、一緒に食べないんだ。。。という寂しさと、いつもの美味しい中華が食べられるワクワク。
そうか、だから白衣なのね。
メニューは、次の通り。
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トーストしたパンの上に、ハムと肉のペーストの合わせたの。
セロリとトマトのピクルス。
●春菊と鯛
春菊は柔らかくて、軽いごま油風味。少し辛子のパウダーを利かせた鯛。
●鶏肉とネギ
ネギは何か珍しい銘柄だったけれど名前を失念。
●自家製ベーコンとセリ
「干し肉」といっていたのが、この自家製ベーコン。
軒下で干して、冷蔵庫で乾燥させて、コーヒー豆を使って燻製。
脂が甘くて、とろける。
●しろ菜のスープ(写真なし)
関西から送ってもらった「しろ菜」は優しい味。白菜のスープみたいに甘い。
白菜の仲間だそうだから、味が近いのかな。
次の料理を作っている間に、山椒を擂る。四川省と河南省のブレンド。
●麻婆豆腐
辛くって美味しい麻婆豆腐は、ご飯と一緒に食べるのが最高!
うまい、辛い、美味しい~っ。それしか言葉がない!
●デザートいちご(写真なし)
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なんだか普通の料理に見えるけど、手がかかっている。
料理人の「ひと手間」は、手間の加減が全然違う。
私の語彙では美味しさを伝えることが難しくて、歯がゆい。
この日の会話では「火加減じゃないんだよ、油加減」という言葉が印象に残っている。
「よく中華は家庭の火力では難しいとかいうけど、難しいのは油加減。どれだけうまく油を飛ばすか、だね」といっていた。
美味しい炒め物を作るには、たくさん油を使う。そうすると、調味料は塩だけで、本当に美味しくなる。
でも、油っぽくない。不思議だけど、そういうこと。
料理のことを聞くと、いつもわかりやすく教えてくれるけど、コツを説明してもらいそびれちゃった。
油を飛ばすって、なんとなくイメージできるけどはっきりつかめない。
今度あったら、絶対聞かなくちゃ。
・・・「今度」があるよね、最後じゃないと願うよ。
自宅療養を始めてたころに比べたら、ずいぶん顔色とかよくなっていたし。
次に会えるのはいつだろう。
ちょっとしたお菓子しか持っていかなかったのに、しっかりごちそうになってしまった。
お店じゃないのに、お金のやり取りは無粋な気がする。
何かいい食材が手に入ったら送ろう。